「残薬があれば遠慮なく医師にお伝えください」

精神疾患に伴う症状は人それぞれ異なり、処方された薬の効果も個人差があります。そのため、残薬が出ることはよくあるケースです。患者さんが治療の一環として薬を処方された場合、時にはその薬を全て使い切れないことがあります。これを「残薬」と呼びます。

1. 残薬の理由

・副作用が強かったため減量や変更した

・症状が改善したので減らした

・服薬を忘れがちだった

・効果があまり感じられなかった

2. 医師に残薬について正直に伝える

残薬の理由を医師に正直に伝えることは大切です。
医師は症状の変化や体調を確認し、より適切な治療を提案してくれます。
患者さんの状態により、
処方の中止や他のお薬に変更したり、
服薬時間を変えてもらったり、
時々服薬するように服薬のタイミングを変更したりとさまざまです。

また、残薬を隠したり無断で服薬を中止したりすると、次の処方が的確に行えません。

「残薬があれば遠慮なく医師にお伝えください」

この一言には、患者さんと医師との間に信頼と理解を築く力があります。
健康を取り巻く疑問や不安について、遠慮なくご相談ください。
共に歩むことで、より良い治療成果を目指しましょう。

「承知致しました」と「承知いたしました」はどちらが正しいの?

スタッフさんと話をしている時、「承知致しました」は間違いで、「承知いたしました」が正しい表現だと初めて知りました。

なので、調べてみました。

「承知いたしました」が正しい表現でした。

「承知する」は、「了解する」「理解する」という意味の語句です。「致す」は「行う」という意味の謙譲語です。つまり、「承知いたしました」とは、「理解いたしました」「了解いたしました」という意味になります。

一方、「承知致しました」は文法的に間違った表現です。「致す」は他動詞なので、目的語がなければなりません。「承知する」は自動詞なので、「致す」を従える必要がありません。

つまり、「承知致しました」は正しい文法ではありません。正しくは、「承知いたしました」と言うべきです。

また、「承知いたしました」よりも、簡潔な「承知しました」という表現の方が一般的に使われています。「いたす」は丁重な言い方ですので、場面に応じて使い分ける必要があります。

このように、「承知致しました」は誤りであり、正しくは「承知しました」か「承知いたしました」と言います。敬語の使い分けには注意が必要です。

睡眠薬デエビゴってどんなお薬?

睡眠薬デエビゴってどんなお薬?


デエビゴとは

デエビゴ(一般名はレンボレキサント)は日本では2020年に発売された、レム睡眠を改善する新しい種類の睡眠薬です。既存の睡眠薬が非レム睡眠に作用するのに対し、デエビゴはレム睡眠の質を高めるオレキシン受容体拮抗薬です。

オレキシン受容体は、脳内の特定の化学物質であるオレキシンの作用を受けるためのタンパク質受容体です。オレキシンは、主に覚醒、食欲、エネルギー消費などを調節する重要な役割を持っています。このシステムは、睡眠と覚醒のサイクル、特に睡眠状態から覚醒状態への移行を管理する上で、中心的な役割を果たします。

オレキシン受容体を標的とした薬剤は、睡眠を誘導するためにオレキシンの活動を阻害することで作用します。これらの薬剤は、オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれ、オレキシンの作用をブロックして、睡眠の質を改善することができます。オレキシン受容体拮抗薬は、特に不眠症の治療において有効であることが示されています。

レム睡眠は夢を見る深い睡眠で、脳の活動が高まる睡眠段階です。レム睡眠が十分取れないと疲労感が残ったり、集中力が低下したりします。デエビゴはこのレム睡眠を適正化することで、睡眠の質を改善してくれます。

デエビゴの特徴

  • 入眠から中途覚醒までの睡眠維持作用がある

  • 翌朝の眠気が少ない

  • 長期連用による依存性が低い

  • 高齢者への安全性が高い

デエビゴの使い方

デエビゴは就寝直前に服用します。
就寝直前とは、ベットサイドにコップとお薬とお水を用意して、服薬してすぐ横になるイメージです。

1日の服用量は5mgが標準的な用量ですが、高齢者の場合は2.5mgから開始します。高齢者でない方でも5mgだと眠気が残る方がいらっしゃるので、その場合は2.5mg錠を服薬してもらっています。また1日の最大量は10mgです。10mgを超えて服薬はしないようにしてください。

デエビゴの注意点

  • 眠気やめまいに注意(翌朝の運転や機械操作は控えめに)

  • アルコールとの同時服用は避ける

  • 100人に1〜2人の割合で悪夢を見る方がいる
    (服薬することで夢を見やすいレム睡眠に影響が出るためと言われています)

睡眠の改善は、睡眠の原因になる疾患の治療と生活習慣が大事です。
睡眠薬はそのうちの手段に過ぎませんが、
不眠にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

診察における「たわいもない質問」の大切さ

心療内科・精神科の診察では、患者さんの精神的な健康状態を理解するために、さまざまな質問を投げかけます。中でも、「食事は取れていますか?」「夜はよく眠れていますか?」といった日常生活に関わる質問は、患者さんの心の健康を探る上で非常に重要です。
診察のたびに毎回質問されることは多いはずです。

○食事状況の確認

「食事は取れていますか?」という質問は、患者さんの生活習慣や身体の健康状態を把握するために欠かせません。食欲は心理状態と密接に関連しており、うつ病や不安障害などの心の病は食欲不振を引き起こすことがあります。また、過食傾向はストレスや感情のコントロールの問題を示唆することも。食事の内容や頻度を尋ねることで、患者さんの現在の心理状態やストレスレベルについての手がかりを得ることができます。

○睡眠パターンの重要性

「夜は眠れていますか?」という質問は、患者さんの睡眠パターンを把握するために重要です。睡眠は心身の健康に直結しており、睡眠障害はうつ病や不安障害など多くの心の健康問題の兆候または原因となることがあります。患者さんがどれくらいの時間を眠っているのか、夜間に目覚めることはあるのか、睡眠の質はどうかなど、詳細な情報を聞くことで、その人の精神状態や日々のストレスレベルをより深く理解することが可能です。

○まとめ

これらの「たわいもない」と思われがちな質問は、実は患者さんの心の健康状態を探る上で非常に有益です。日常生活の小さな変化が大きな健康上の問題につながることもあり、精神科医はこれらの情報をもとに、適切な診断と治療を行うことができます。患者さん自身も、これらの質問を通じて自分の心身の状態を振り返り、必要に応じて専門家の助けを求めることが重要です。