プラセボ(placebo)効果とノセボ(nocebo)効果について

プラセボ効果とノセボ効果について

私たちが薬や治療を受ける際、科学的な効果だけが働いているわけではありません。心の中で信じる力、期待する力が私たちの身体にどれほど影響を与えるか、それが「プラセボ効果」と「ノセボ効果」です。

1、プラセボ効果とは?

「プラセボ」とはラテン語で「私は喜ぶ」という意味です。薬の成分としての効果はない偽の薬(砂糖など)を飲むことで、実際には何の効果もないはずなのに、体調が改善される現象を指します。この効果の背後には、患者さんの期待や信じる気持ちが影響しています。
それに加え、本人が効果を感じないとわかっていても、プラセボの効果を感じることも特徴です。
例を挙げると、動悸や不安感が強い患者さんが、症状を抑えるため抗不安薬を時々使っています。そこで抗不安薬の代わりにサプリやミントのタブレットなどを使うと、意外と落ち着く方がいらっしゃいます。それらを飲むこと自体に体が安心を感じるのです。

2、ノセボ効果とは?

一方で、ノセボとはラテン語で「害する」と言う意味で、プラセボの反対の現象です。治療や薬に対するネガティブな期待や不安が、実際に体調の悪化や副作用のような症状を引き起こすことがあります。例えば、副作用について詳しく説明されると、それを強く意識してしまい、実際に症状が現れることがあるのです。

これも例を挙げると、うつ症状のある患者さんに抗うつ薬を飲んでもらいます。その抗うつ薬は眠気がする、気持ち悪いなどの訴えがあるためそのお薬を中止して他のお薬を処方しました。しかし他のお薬も胃が痛い、動悸がするなどの訴えがあると、またまた他のお薬を処方するのですが、これを繰り返していると、どのお薬を飲んでも効果を感じない、お薬は飲みたくないといった気持ちが強くなります。この場合はしばらくの間休薬していただくことがあります。

3、なぜこれらの効果は重要なのか?

医療の現場では、プラセボ効果やノセボ効果が意図せず引き起こされることがあります。しかし、これらの効果を理解し、適切に活用することで、治療の質を向上させたり、患者さんの満足度を高めることが可能です。

また、患者さん自身が自分の体や心の変化をよく観察し、自分の期待や感じることの影響を理解することで、より賢く医療を受けることができます。

4、まとめ

プラセボ効果とノセボ効果は、医療の現場だけでなく、日常生活の中でも働いている可能性があります。私たちの信じる力や期待する力は、実際の身体の反応に大きく影響することがあるのです。心と体の関係性を理解することで、より健康的で充実した日常を送る手助けとなるでしょう。