不安なとき「なんとかなる」
はじめに
「失敗したらどうしよう」「最悪のことが起きるかも」――不安が強いとき、頭の中はネガティブな考えでいっぱいになってしまいます。
そんな時におすすめしたいのが、シンプルな言葉「なんとかなる」とつぶやくことです。
実際に、心理学や医学の研究では、前向きな言葉を口にすることがストレスの軽減や気分の改善に役立つことが報告されています。本記事では、その根拠を紹介しつつ、日常生活での活用方法をまとめます。
言葉が脳に与える影響
人間の脳は、外から聞く言葉だけでなく、自分自身がつぶやく言葉にも強く影響を受けます。
たとえば「大丈夫」「なんとかなる」という言葉は、未来への柔軟さや自己効力感(自分には対処できる力があるという感覚)を強め、不安で過剰に働いている扁桃体の反応をやわらげると考えられています。
論文からのエビデンス
この研究では、「自己を肯定する言葉(セルフアファメーション)」を繰り返した人は、ストレス下でも課題解決能力が高まることが示されました。
セルフ・コンパッションとの関係
心理学の分野では「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」という考え方が注目されています。
Kristin Neff(2003)が提唱した理論によれば、自分を責めるのではなく「人間だから不安もある」「大丈夫、時間が解決する」と優しく声をかけることで、ストレスや抑うつを軽減できるとされています。
実生活での取り入れ方
1. 夜眠れないとき
不安で眠れない夜に、「眠れなくても大丈夫、なんとかなる」と心の中でつぶやくことで、安心感が少しずつ高まる可能性があります。
2. 人前で話す場面の前に
プレゼンや面接、初めての仕事など緊張する場面でも、出発前や会場に向かう途中で口にすると気持ちを整えやすくなります。
3. 書き出して使う
つぶやくだけでなく、メモ帳やスマートフォンに「なんとかなる」と書き残して見返すようにすると、視覚的な安心効果もプラスされます。
「なんとかなる」は現実逃避ではない
「なんとかなる」と言うと、「問題から逃げているだけでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし実際には、不安で心が硬直しているときにこの言葉を使うことで、冷静さを取り戻し、むしろ建設的な行動をとりやすくするのです。
先に紹介したCreswellらの研究でも、前向きな言葉を使うことでストレス下での思考能力が改善していました。
まとめ
・「なんとかなる」とつぶやくことは、脳の不安反応をやわらげる
・自己アファメーション研究でストレス下の思考力改善が確認されている
・セルフ・コンパッションの観点からも、自分に優しい声かけは有効
・日常の不安場面(夜、挑戦前、書き出す習慣)で取り入れられる
不安をゼロにすることはできません。
しかし「なんとかなる」と自分に声をかけることで、
なんとかなる根拠がなくても、問題解決を後押しする原動力となるのです。