7000歩、うつのリスクを減らせます

昔は「健康のために1日1万歩」という目安がよく言われましたが、最近は「7,000歩前後でも十分」という研究結果が多く示されるようになっています。

理由を整理すると以下の通りです。

⭐️「1万歩」の根拠は科学的というよりマーケティング

・1960年代に日本で発売された歩数計「万歩計」のキャッチコピーが「健康のために1日1万歩」でした。

・当時は科学的根拠というより「分かりやすく、覚えやすい数字」として広まったのです。

⭐️最新の疫学研究によると7,000歩でも十分

・大規模な追跡研究で、1日あたり7,000以上で死亡リスクが低下していました。

・うつ病との関連では、1日あたり7,000歩以上の歩数がうつ病リスクの低下と関連していました。

・逆に「1万歩以上」に増やしても、健康効果はそれ以上大きくならないことが多いとされています。

⭐️ 歩数より「質」と「強度」が重要

・ 最近の指針では「歩数そのもの」よりも中強度の活動(早歩きなど)をどのくらい取り入れるかが重視されています。

・例えば「7,000歩の中に20〜30分の早歩きがある」方が、「1万歩をだらだら歩く」より効果的です。

⭐️運動とメンタルヘルスの関係

適度な運動は脳内の神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンの分泌を促し、気分を安定させる効果があります。

うつ症状を認める方ではこれらの神経伝達物質のバランスが乱れていることが多いため、ウォーキングのような有酸素運動は症状改善に寄与します。

・ストレスホルモンの減少:ウォーキングはコルチゾール(ストレスホルモン)のレベルを下げ、過剰なストレス反応を抑制します。

・気分の改善:自然の景色を楽しみながら歩くことで、気分転換が促進されポジティブな感情が増えます。

・睡眠の質向上:適度な運動は睡眠の質を改善し、うつ病で悩む方の疲労や不眠の軽減に役立ちます。

・社会的交流の機会増加:散歩で人とすれ違う、ついでにお店に入って店員さん話すなど、孤立感の解消にもつながるかもしれません。

⭐️まとめ

・1万歩はマーケティング発の数字

・科学的には7,000歩前後で十分な効果

・大事なのは量より質(強度のある歩行を含めること)

⭐️休職中の方で外出したい気持ちが出てきたら、無理に一気に歩こうとせず、徐々に歩数を増やしていきましょう。


参考
Daily Step Count and Depression in Adults A Systematic Review and Meta-Analysis

Steps per Day and All-Cause Mortality in Middle-aged Adults in the Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study

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悪夢と健康の関係について