ロボットは「不気味」?ASDの方では感じ方が少し違うかもしれません
ロボットは「不気味」?ASDの方では感じ方が少し違うかもしれません
最近、発達特性(自閉スペクトラム症:ASD)のある方の支援に、ロボットを使う取り組みが増えています。
「ロボットって、ちょっと不気味に感じることがあるけど大丈夫?」と思う方もいるかもしれません。
—ロボットが「人間らしい」特徴を持つにつれ好感を持たれるが、あまりに人間に近づきすぎると不気味になる。
ほぼ完全に人間と区別がつかなくなると、再び好感を持たれるようになる。—
これを「不気味の谷(uncanny valley)」といいます。
(最近では、AI技術の進歩により違和感が少ない画像や動画が増えています。実はその谷を超え始めているのかもしれません。)
研究でわかったこと
最近の研究では、人間の顔とロボットの顔の写真を見てもらい、
どれくらい人間らしく見えるか
どれくらい好ましく感じるか
を評価してもらいました。
その結果、
一般の方(定型発達の方)では、「人間かロボットか判断があいまいな顔」で、好ましさが下がる(=少し不気味に感じる)傾向がありました。
一方で、ASDの方では、その“強い不気味さ”がはっきり出ませんでした。
つまり、ASDの方は、あいまいな見た目に対して、強い嫌悪感を抱きにくい可能性がある、という結果でした。
なぜ違いが出るのでしょう?
研究では、こんな可能性が考えられています。
一般の方は、顔を「全体の雰囲気」でとらえる傾向があります。
一方で、ASDの方は「目」「口」「輪郭」などの部分に注目しやすいことが知られています。
もし顔全体のバランスの“ちぐはぐさ”をあまり強く意識しないのであれば、「なんとなく気味が悪い」という感覚が生まれにくいのかもしれません。
ただし、これはあくまで一つの説明です。
すべての方に当てはまるわけではありません。
では、ロボット支援は安心なのでしょうか?
今回の研究は「写真を見て評価する」実験でした。
実際の支援では、
声のトーン
話すスピード
視線の動き
距離感
なども大きく影響します。
ですので、「ASDの方はロボットを不気味に感じない」と単純に言い切ることはできません。
ただし、
人とのやりとりが強い緊張や不安を生む場合、ロボットは“練習の場”として役立つ可能性があることは、これまでの研究でも示されています。
大切なのは「安心できるかどうか」
支援の道具がロボットであれ、人であれ、
自分にとって安心できるか
負担が少ないか
少しでも前向きな体験になるか
がいちばん大切です。
もし「ロボットはちょっと怖い」「逆に、人より話しやすい気がする」など感じることがあれば、それも大事なサインです。
まとめ
一般の方には「不気味の谷」が出やすい
ASDの方では、その現象が弱い可能性がある
ただし、感じ方は人それぞれ
支援は“見た目”よりも“安心感”が重要
さいごに
ロボットは万能の治療者ではありませんが、対人関係が苦しい方にとって「関係のリハビリの足場」になれる可能性があります。
今後は、画像評価だけでなく、実際の対話場面で“不気味さ”や受容性がどう変わるのか、そしてどんなデザインが最も支援に適するのか、
より臨床に近い形で検証が進むことが期待されます。