SNSとメンタルヘルス:ネガティブな影響と対策

近年、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用が急増しています。特に若者を中心に、日常の一部としてSNSを利用する人が増えてきました。しかし、その一方で、SNSが若者のメンタルヘルスに与えるネガティブな影響も指摘されています。当院でもそのことによる精神不調にて来院される方がいらっしゃいます。

1. SNSのネガティブな影響

  • 比較文化:他者との比較からくる劣等感や不満

  • サイバーブリング(cyberbullying):ネット上でのいじめや中傷

  • 情報過多:多くの情報に接することでのストレスや不安

  • リアルタイム性の強制:常に更新を追いかけるプレッシャー

2. SNS利用の対策

  • 時間の制限:1日のSNS利用時間を決め、アラームなどで時間を守る

  • リアルとのバランス:SNS利用の後は実際に友人や家族との時間を大切にする

  • 情報のフィルタリング:フォローするアカウントを見直し、ネガティブな情報源は除外する

  • SNSデトックス:週に1日や一定の時間帯はSNSをオフにする

私たちの現代社会では、SNSは避けられない存在となっています。しかし、適切な利用方法を知り、自分のメンタルヘルスを守る方法を学ぶことで、SNSと健康的に共存することが可能です。

先生、お薬を飲まない副作用はありますか?

先日、私はある患者さんを診察していました。お薬に不安があった様子で、
「このお薬の副作用は何ですか?」
「この睡眠薬の副作用は何ですか?」
などお薬の副作用についてのいくつかの質問を受け、それにひとつづつ答えていました。

そしてついに驚くべき一言を耳にしました。その患者さんがこう質問しました。

「先生、お薬を飲まない副作用はありますか?」

この質問には一瞬、驚いたものの、患者さんが伝えたかったのは、処方されたお薬を飲まない場合にどんな影響があるのか、ということだと理解しました。

患者さんは、うつ病の治療の一環として処方されているお薬を服用していましたが、副作用を恐れていて、薬を飲むことをためらっていました。しかし、患者さんが理解していなかったのは、処方された薬を飲まないこと自体が「副作用」を引き起こす可能性があるということです。

私は患者さんに対して、うつ病を放置すると、うつ症状などの悪化や自殺のリスクが高まる可能性があるとを説明しました。これは、薬の副作用が引き起こすリスクよりもはるかに重大な問題です。薬を飲まないことで、病気が進行し、それが新たな「副作用」を引き起こす可能性があるということを、理解してもらいました。

このエピソードを通じて、私は医師として患者さんに対し、治療法の選択についての情報提供だけでなく、それを適切に理解し、適切な行動をとることの重要性を教える役割も持っていることを再認識しました。患者さんが、自分の健康を自分自身で守るための最善の行動をとることができるように、医療者としてサポートすることが求められています。

結局のところ、医師は、病気の診断と治療だけでなく、患者さんが自身の健康に対する理解と自己管理能力を向上させることにもあります。このエピソードが、皆さんにとって何か一つでも新たな視点や洞察を提供できれば幸いです。

PMSとPMDD:それぞれの特性と違いを理解する


今日は、女性の月経周期に関連する2つの症状、PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分症候群)について説明します。これらの症状はどちらも類似していますが、程度と影響の範囲には大きな違いがあります。

まず、PMSについて見てみましょう。PMSは、月経の1週間から2週間前に経験する可能性のある身体的、精神的な症状を指します。これには腹痛、頭痛、乳房の張り、倦怠感などの身体的な症状と、イライラ感、悲しみ、抑うつ気分、混乱などの精神的な症状が含まれます。これらの症状は月経が始まると通常は軽減または消失します。

一方、PMDDはPMSのより重篤な形態で、より深刻な影響を及ぼす可能性があります。PMDDの症状は、月経周期の後半に現れ月経が始まると軽減または消失します。これらの症状で特に重要なのは精神的な症状です。気分の変動が激しい、著しい抑うつ気分、ひどくイライラする、著しい不安感や緊張感などの精神症状が深刻なのが特徴です。

これら2つの症候群は、類似した症状を引き起こす可能性がありますが、影響の度合いと範囲には大きな違いがあります。PMSは一部の女性にとって不快な症状を引き起こすことがありますが、PMDDは不快な症状に加え、日常生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

そのため、症状が日常生活に影響を及ぼし始めた場合、または症状が深刻であると感じる場合には、医療機関に相談することが重要です。特にPMDDは、抗うつ薬(SSRI)に即効性があります。排卵期の前後から服薬を開始し、月経が始まれば中止します。毎日抗うつ薬を服薬する必要はございません。またカウンセリングや生活習慣の指導・助言も有効な対策となることがあります。

最後に、自分の体と感情に耳を傾け、異常な変化を早期に捉えることが大切です。そして、必要なケースでは専門的な助けを求めることを恐れないでください。あなたの健康は、あなた自身が一番よく理解し、管理できるものなのです。

"身体症状症と病気不安症:似ているようで違う二つの病態"

今回は「身体症状症」と「病気不安症」の違いについてお話しします。
これらは、一見似ているように思えますが、本質的には大きな違いがあります。

まず「身体症状症」は、患者さんが具体的な身体的な症状(頭痛、胸痛など)を訴え、その原因が医学的には説明できない状態を指します。病的な所見が見つからないにも関わらず、患者さんは日常生活に影響を及ぼすほどの身体的な症状に苦しむことが特徴です。
ストレスや心理的な問題が身体に反映されることがよくあります。

一方、「病気不安症」は、患者さんが自身が重篤な疾患に罹患していると過度に心配し、その心配が適切な医学的評価や安心する情報にもかかわらず続く状態を指します。これは「健康への過度な恐怖」が特徴で、患者さんは常に自身の健康状態について不安を感じ、検査結果が陰性であっても安心できません。

これら二つの病態は一見似ていますが、重要な違いは「身体の症状」に対する焦点がどこにあるかです。身体症状症では「身体の症状」自体が主な悩みであり、その症状により日常生活に影響を及ぼします。対して、病気不安症では「病気になるかもしれない」という「不安」が主な悩みであり、具体的な症状は必ずしも存在しないか、あってもそれ自体はそれほど強くないことが多いのです。

治療においても違いがあります。身体症状症の治療では、身体的な症状を管理する方法や、ストレスや心理的な問題をどう扱うかに焦点を当てます。一方、病気不安症の治療では、不安を管理する方法や、健康に対する思考の誤りを修正することに焦点が当てられます。

どちらの病態も深刻な苦痛を引き起こし、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。適切な理解と治療が必要です。身体的な症状に悩まされている方、または自身の健康について過度に心配している方がいらっしゃいましたら、ぜひ専門家に相談してください。安心と適切なケアが提供されます。

病気不安症、身体症状症に関するご相談はこちら

身体症状症と精神の健康:一見無関係な二つが密接なつながりを持つこと」

私のクリニックに来る患者さんの中には、

「なんとなく体調が悪い」
「具体的な病気ではないけど身体が辛い」
という方がたくさんいらっしゃいます。

これは"身体症状症"と呼ばれ、身体的な症状が見られるものの、それが明確な物理的な病気から来るものではない場合に診断されます。

身体症状症は、肉体的な痛みや不快感が主な特徴で、その原因を特定するのが困難です。従来の医学的検査では通常、何も異常が見つからず、それが患者さん自身を混乱させ、苦しめることがあります。

身体症状症は、ストレス、不安、抑うつ気分などの心の問題が深く関わっています。身体と心は密接につながっており、心の健康が肉体の健康に影響を及ぼすことを理解することが重要です。

診察を通して、身体的症状をもたらす可能性のある心理的、感情的な問題を探っていきます。
治療は、薬物療法、認知行動療法、ストレス管理技術、リラクゼーション療法など、症状と生活の質を改善するためのさまざまな手段を含むことがあります。

「ただのストレス」だと軽く考えがちですが、心が抱える問題はしっかりとした医学的な対応が必要なものです。あなたが身体症状症に苦しんでいるなら、一人で悩まずに専門家に相談してみてください。
あなたの心と身体の両方の健康をサポートするための策がきっとあるはずです。

画像 「いらすとや」より引用