💬「自分でも思っていないことを言ってしまう…」と悩むあなたへ
「なんであんなこと言っちゃったんだろう」
「本当はそんなつもりじゃなかったのに」
そんなふうに、自分の発言にモヤモヤしてしまうことはありませんか?
実はそれ、「あなただけ」の悩みではありません。
外来でも、同じように感じている方が多くいます。
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原因のひとつは「自動思考」
人は、誰かと話すときや緊張する場面で、「自動思考」に影響されて行動してしまうことがあります。
自動思考とは、特定の出来事に対して瞬時に浮かぶ考えやイメージのことです。
これらの思考は、感情や行動に大きな影響を与えることがあります。
自動思考は、ネガティブな考えだけでなく、ポジティブな考えも含まれます。
特にネガティブな自動思考は心理的な問題を引き起こすことが多いです。
このためネガティブな考えが治療対象となります。
たとえば:
• 「うまく話さないと嫌われるかも」
• 「ちゃんとしてると思われたい」
• 「変な人だと思われたらどうしよう」
このような考えが無意識に浮かぶと、「本音とは少し違うことを言ってしまう」ことがあるのです。
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😞 言った後に後悔しやすい人の特徴
• 相手に合わせすぎてしまう
• 空気を読もうとして自分の気持ちを抑える
• 「良い人でいなきゃ」と頑張りすぎる
• 人前で話すと、頭が真っ白になってしまう
こうした傾向がある方は、自分でも「なんでこんなこと言ったのか分からない」と混乱しやすくなります。
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🌱 少しずつできること
1. 思考のクセに気づく練習
発言のあとで、
• 「あのとき、どんな気持ちだった?」
• 「何を恐れてた?」
• 「本当はどうしたかった?」
と振り返ってみましょう。自分の“心の声”に気づく練習になります。
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2. 言いたいことを準備しておく
緊張する場面では、事前に言いたいことをシンプルにまとめておくと安心です。
たとえば「この話題にはこれだけ言う」「それ以外は無理しない」など。
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3. 自分を責めすぎない
言葉がうまく出なかったり、本意と違うことを言ってしまったときでも…
「あのときは緊張してたんだから、仕方ない部分もあるよね」
「あの場面で自分はよく頑張れた」
と、自分にやさしい言葉をかけて自分をほめてみましょう。
責めるよりも、自分を労わることが、次につながります。
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🌈 最後に
「本音と違うことを言ってしまう」のは、決して弱さではありません。
むしろ、あなたが「ちゃんと向き合いたい」と思っている証拠です。
もし同じようなことに悩んでいたら、ぜひカウンセリングや精神科で相談してみてください。
一人で抱えなくていいんです。少しずつ、一緒に整えていきましょう。
診察における「たわいもない質問」の大切さ
心療内科・精神科の診察では、患者さんの精神的な健康状態を理解するために、さまざまな質問を投げかけます。中でも、「食事は取れていますか?」「夜はよく眠れていますか?」といった日常生活に関わる質問は、患者さんの心の健康を探る上で非常に重要です。
診察のたびに毎回質問されることは多いはずです。
○食事状況の確認
「食事は取れていますか?」という質問は、患者さんの生活習慣や身体の健康状態を把握するために欠かせません。食欲は心理状態と密接に関連しており、うつ病や不安障害などの心の病は食欲不振を引き起こすことがあります。また、過食傾向はストレスや感情のコントロールの問題を示唆することも。食事の内容や頻度を尋ねることで、患者さんの現在の心理状態やストレスレベルについての手がかりを得ることができます。
○睡眠パターンの重要性
「夜は眠れていますか?」という質問は、患者さんの睡眠パターンを把握するために重要です。睡眠は心身の健康に直結しており、睡眠障害はうつ病や不安障害など多くの心の健康問題の兆候または原因となることがあります。患者さんがどれくらいの時間を眠っているのか、夜間に目覚めることはあるのか、睡眠の質はどうかなど、詳細な情報を聞くことで、その人の精神状態や日々のストレスレベルをより深く理解することが可能です。
○まとめ
これらの「たわいもない」と思われがちな質問は、実は患者さんの心の健康状態を探る上で非常に有益です。日常生活の小さな変化が大きな健康上の問題につながることもあり、精神科医はこれらの情報をもとに、適切な診断と治療を行うことができます。患者さん自身も、これらの質問を通じて自分の心身の状態を振り返り、必要に応じて専門家の助けを求めることが重要です。
先生、お薬を飲まない副作用はありますか?
先日、私はある患者さんを診察していました。お薬に不安があった様子で、
「このお薬の副作用は何ですか?」
「この睡眠薬の副作用は何ですか?」
などお薬の副作用についてのいくつかの質問を受け、それにひとつづつ答えていました。
そしてついに驚くべき一言を耳にしました。その患者さんがこう質問しました。
「先生、お薬を飲まない副作用はありますか?」
この質問には一瞬、驚いたものの、患者さんが伝えたかったのは、処方されたお薬を飲まない場合にどんな影響があるのか、ということだと理解しました。
患者さんは、うつ病の治療の一環として処方されているお薬を服用していましたが、副作用を恐れていて、薬を飲むことをためらっていました。しかし、患者さんが理解していなかったのは、処方された薬を飲まないこと自体が「副作用」を引き起こす可能性があるということです。
私は患者さんに対して、うつ病を放置すると、うつ症状などの悪化や自殺のリスクが高まる可能性があるとを説明しました。これは、薬の副作用が引き起こすリスクよりもはるかに重大な問題です。薬を飲まないことで、病気が進行し、それが新たな「副作用」を引き起こす可能性があるということを、理解してもらいました。
このエピソードを通じて、私は医師として患者さんに対し、治療法の選択についての情報提供だけでなく、それを適切に理解し、適切な行動をとることの重要性を教える役割も持っていることを再認識しました。患者さんが、自分の健康を自分自身で守るための最善の行動をとることができるように、医療者としてサポートすることが求められています。
結局のところ、医師は、病気の診断と治療だけでなく、患者さんが自身の健康に対する理解と自己管理能力を向上させることにもあります。このエピソードが、皆さんにとって何か一つでも新たな視点や洞察を提供できれば幸いです。
当院でのマスク着用は任意です
今回は当院でのマスク着用についてお知らせしたいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、私たちはしっかりとした衛生管理を徹底し、安全な診療環境を提供するために、スタッフと患者さんには自発的にマスクの着用を勧めてきました。しかし、ワクチン接種の進行や感染状況の改善、さらにはマスク着用による苦痛を訴える患者さんへの配慮から、我々のマスク着用ポリシーを再評価することにしました。
新しいポリシーとして、「マスク着用を任意とする」ことを決定しました。これは、患者さんとスタッフが自身の健康と快適さを最優先に考慮できるようにするためです。
ただし、この新しいポリシーが、マスクの必要性を否定するものではないことを強調したいと思います。マスクは引き続き、感染症の拡大を防ぐ効果的な手段であり、自分自身だけでなく、他の人々の健康を保護するためのものです。
クリニックは、皆さんが安心してご利用いただける場所であるべきです。そのため、マスクを着用するかどうかは、皆さん自身の選択に任せます。ただし、自分の健康状態や他人への影響を考慮して、その選択を行ってください。
医師及びスタッフも健康状態や自分の意志に基づき任意でマスクの着用を行います。
当院では、患者さんの選択を尊重し、クリニック内での感染症対策を続けます。皆さんが安心して診療を受けられる環境を作り上げるために、私たち全員が協力していきましょう。
どうぞよろしくお願いいたします。