「承知致しました」と「承知いたしました」はどちらが正しいの?

2024/04/05 🆙2026/05/24

「承知致しました」と「承知いたしました」はどちらが正しいの?

— 言葉遣いと人間関係の心理学 —

日々の診療やスタッフとの会話の中で、時々「なるほど」と思わされることがあります。

先日、スタッフさんと話をしている時に、

「“承知致しました”ではなく、“承知いたしました”が正しい表現ですよ」

と教えていただきました。

私は恥ずかしながら、それまで「承知致しました」を自然に使っていました。医師という職業柄、診断書や紹介状など文章を書く機会は多いのですが、日本語の敬語は本当に奥が深いものです。

そこで改めて調べてみると、確かに正しい表現は「承知いたしました」でした。

「承知いたしました」が正しい理由

「承知する」は、「理解する」「了解する」という意味を持つ言葉です。

一方、「いたす(致す)」は、「する」の謙譲語です。

つまり、

  • 承知しました

  • 承知いたしました

は自然な敬語表現です。

しかし、「承知致しました」と漢字で書くと、少し事情が変わります。

文化庁などでも、「いたす」は補助動詞として使う場合には、ひらがな表記が推奨されています。

たとえば、

  • ご連絡いたします

  • お願いいたします

  • 承知いたしました

のように書くのが一般的です。

つまり、「承知致しました」が絶対的な誤りというより、現在の実務的・公的な文章では「承知いたしました」が自然で読みやすい表記、と考えると分かりやすいかもしれません。

言葉遣いは「安心感」を作る

精神科・心療内科では、言葉遣いが患者さんとの関係性に大きく影響します。

例えば、

  • 「大丈夫ですよ」

  • 「心配ありません」

という言葉でも、言い方ひとつで安心感になったり、逆に「軽く扱われた」と感じられることもあります。

敬語も同じです。

完璧な日本語を使うこと以上に、

  • 相手を尊重していること

  • 丁寧に向き合おうとしていること

  • 誠実であろうとする姿勢

が伝わることが大切なのだと思います。

実際、強い不安や抑うつ状態の方は、言葉のニュアンスに非常に敏感になることがあります。

「そんなつもりじゃなかった」が、対人関係では大きな誤解になることも少なくありません。

だからこそ、私自身も「言葉を雑に扱わない」ことを意識したいと思いました。

「承知しました」でも十分丁寧

ちなみに、日常業務では「承知しました」も非常によく使われます。

「承知いたしました」は、さらに丁重な表現ですので、

  • フォーマルなメール

  • 接客

  • 医療機関での応対

  • 目上の方への返答

などでは特に適しているかもしれません。

一方で、過度に形式的になりすぎると、距離感を感じさせることもあります。

精神医療では、「丁寧さ」と「親しみやすさ」のバランスも大切です。

言葉は単なる情報伝達ではなく、「人間関係そのもの」なのだと、改めて感じました。

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