【精神科医が解説】ハローワーク用「就労可能証明書」とは?うつ病・適応障害と仕事復帰の現実

「働ける」と言える日が、いつか来るために✨

「最近、心身の状態も落ち着いてきて、そろそろ働きたい」

「失業保険を申請したいけれど、ハローワークから“就労可能証明書”を求められた」

――こうしたご相談が、精神科の外来でもよく寄せられます。

うつ病、適応障害、双極性障害などで一時的に就労を休止した方が、再び社会へ踏み出すとき――

その橋渡しとなるのが、医師が発行する「就労可能証明書(ハローワーク提出用)」です。
(病状証明書と呼ばれる場合もございます)

本記事では、精神科の視点から、この証明書の役割と注意点をわかりやすく解説します。

就労可能証明書とは?どんなときに必要?

「就労可能証明書」は、現在の健康状態が「働ける状態にある」ことを医師が確認し、文書で証明するものです。特に以下のような場面で求められます。

✅ よくあるケース

・傷病手当金の終了後、求職活動を再開する際

・就労移行支援や職業訓練への参加希望時

・雇用保険(失業保険)を受給する際、ハローワークからの指示があった場合

これらの手続きでは、「医学的に働ける状態かどうか」を第三者(=医師)が証明する必要があります。

精神科の病気と「働ける・働けない」の間にあるグラデーション

ここで大切なのは、「働ける or 働けない」の2択ではなく、その間には“グラデーション”があるということです。

例えば、ご病気が寛解(回復)に向かっていて働けない気持ちがあっても、

・週に20時間以上の労働はまだ難しい

・人の多い環境だと緊張しやすい

・症状が不安定で容易に憎悪しやすい

といった状況もあります。

そういったケースでは「就労は可能だが、配慮が必要」という形で証明書に記載します。

お住まいの地域のハローワークで書類をもらってきてください。

(お住まいの地域によりレイアウトが少し違います)

証明書を書いてもらうときのポイント

1. 現在の症状・状態を正確に伝える

「もう大丈夫だと思う」「少しずつなら働けそう」など、主観的な気持ちだけでなく、

実際の日常生活でできていること・難しいことを整理しておくと、医師が的確に判断しやすくなります。

2. 提出目的を医師に伝える

・ハローワークでの就職活動のため

・職業訓練の参加の可否判断のため

・傷病手当金終了後の生活再建のため

・失業保険の申請

など、何のために提出するのかを伝えておくと、証明書の内容にも反映できます。

3. 余裕を持って依頼する(数日〜1週間)

証明書は診察内容をふまえて慎重に作成する必要があるため、即日発行できないこともあります。余裕を持ったスケジュールで依頼しましょう。

就労は「ゴール」ではなく「通過点」

うつ病や適応障害の回復には「生活リズムが整う」「人とのやりとりに不安が少なくなる」「前向きな気持ちが少し戻ってくる」といった、段階的な変化があります。

その中で「そろそろ働けるかもしれない」と思えたこと自体が、大きな一歩です。

しかし、再就職や復職はゴールではなく、回復の“通過点”にすぎません。無理をすれば再発のリスクもあるからこそ、就労可能証明書という「客観的な視点」が必要なのです。

当院でも発行しています(吉本メディカルクリニック)

吉本メディカルクリニック(港区・精神科/心療内科)では、就労可能証明書の発行にも対応しております。主治医による診察の上、就労の可否や必要な配慮事項について丁寧に判断します。

ご希望の方は、診察予約時または受付時に「ハローワークに提出する証明書を希望」とお申し出ください。

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