【留学中の学生の方々へ】Retroactive Withdrawal(遡及的な履修撤回)とは?

留学中に体調を崩した、日本とは違う文化や学業スタイルに適応できなかった…。
こうした悩みを抱えて、成績不良や単位未取得に至ってしまうケースは少なくありません。

特に、精神的な不調によって学業が継続できなかった場合、アメリカの大学では「Retroactive Withdrawal(レトロアクティブ・ウィズドローアル)」という制度を使うことで、過去の学期の履修を事後的に取り消すことが可能です。

この制度を利用する際には、医師の診断書が非常に重要な意味を持ちます。

▶ Retroactive Withdrawalとは?

Retroactive Withdrawalとは、すでに終了した学期の履修を「やり直せなかった」として事後的に取り下げる手続きのことです。

通常の「履修取り下げ(withdraw)」は学期中に手続きしますが、retroactiveは学期終了後に申請する点が異なります。多くの大学では、以下のような要件が求められます:

  • 医学的、心理的な理由によって出席や課題提出ができなかった

  • 申請時にその証拠(診断書など)を提出できる

  • 成績評価(Fなど)が決まった後でも手続き可能

▶ 適応障害とRetroactive Withdrawalの関係

慣れない環境や人間関係、文化的ストレスによって、留学生が**適応障害(Adjustment Disorder)**を発症することはよくあります。

症状としては:

  • 強い不安、抑うつ気分

  • 集中力の低下、意欲の低下

  • 授業に出られない、課題が手につかない

  • 外出を避ける、友人と会えない など

こうした状態が学期中〜学期末にかけて続き、学業が著しく阻害された場合、Retroactive Withdrawalの申請対象となることがあります

▶ 医師の診断書が果たす役割

大学は「どのような理由で学業が困難になったか」を客観的に判断するために、第三者の診断書を求めることがほとんどです。特に以下の点が明記されていると効果的です:

  • 診断名(例:適応障害)

  • 初診日・症状の始まった時期(→学期との関連が重要)

  • 学業遂行が困難だった旨の記載

  • 今後の治療見通しや配慮事項

※診断書の形式は英文が望ましく、大学の指定テンプレートがあることもあります。

▶ 「甘え」ではなく「制度を正しく使う」ことが大切

心身の不調で学業がうまくいかなかったことに、罪悪感を感じる学生さんは少なくありません。

ですが、制度を使って自分の状態を正しく伝えることは、決して「甘え」ではありません

留学生活を「続ける」ためにも、あるいは一度立ち止まって「回復する」ためにも、Retroactive Withdrawalは重要な選択肢です。

▶ 医師としてできるサポート

当院では、留学中のメンタル不調や履修継続の困難さに悩む学生の方に対して、オンライン診療による英文診断書の作成や、オンラインカウンセリングによる相談対応を行っています。

もしも「履修撤回が必要かも」「うまく言葉にできないけどしんどい」と感じている場合は、ぜひ一度ご相談ください。

📌まとめ

  • Retroactive Withdrawalは学期終了後でも履修を取り下げる制度

  • 適応障害などの精神的理由が対象となるケースも

  • 医師の診断書が申請の鍵になる

  • 制度を活用することは、学生生活を守る一歩

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