☃️冬のうつに光を ― 自宅でできる「光療法」のすすめ
急に寒くなってきましたね。
寒い時期にはこの時期だけうつっぽさが強くなる方がいらっしゃいます。
冬になると気分が沈むのはなぜ?
冬になると朝起きづらくなり、やる気が出ない、甘いものが欲しくなる――
こうした症状は「季節性感情障害(seasonal affective disorder; SAD)」と呼ばれる冬のうつ状態です。
原因は、日照時間の短さによる体内時計の乱れやセロトニン低下と考えられています。
光で脳を 覚醒させる「光療法」
人の脳は、朝の強い光を浴びることで「朝が来た」と認識し、体内時計を整えます。
この仕組みを応用したのが光療法です。
特別な薬を使わず、目から光を取り入れることで
脳内のリズムとホルモン分泌を整え、気分を改善することができます。
また、抗うつ薬を使っている方も光療法との併用で良い結果が得られると示唆されています。
市販ライトでも効果は十分
近年の研究(2024年・中国、2025年・ルーマニア)では、
光療法で60〜90%の患者に症状改善が見られました。
光の色(白・青・緑)による違いはほとんどなく、
照度が10,000ルクス程度(天気のいい日の屋外)あれば十分とされています。
市販のライト機器でも十分効果はあります。
正しい使い方のポイント
時間帯:朝起きてすぐ〜午前中が最も効果的
距離:顔から40〜50cmほど離して使用
光源:網膜に光を到達させるため、1分間に数秒ほど見つめる
時間:30分から1時間程度を目安に
頻度:毎朝続けることが大切
副作用は?
まれに軽い頭痛や目の疲れを感じる方もいますが、
多くは一時的で、使用時間を調整すれば軽快します。
冬に向けて、光を生活に取り入れる
光療法は、「朝の太陽を部屋に再現する」安全な方法です。
忙しい方でも、朝のコーヒーを飲みながら光を浴びるだけで、
心のリズムを整えることができます。
まとめ
冬の憂うつは「光不足」からくることが多い
市販のライトで手軽に実践できる
継続することで、気分や睡眠の質が改善する
吉本メディカルクリニックでは、季節性感情障害についての治療相談を行っております。
参考
Can bright light banish winter depression? (The Economist)