オーストラリアへ精神科の薬を持ち込む・郵送する場合|診断書とwritten authorityの注意点

お薬を郵送するためには、オーストラリア医師が発行したwritten authorityが必要です。

海外渡航や留学、出張、長期滞在の際に、精神科で処方されている薬をオーストラリアへ持参したい、あるいは日本から郵送してもらいたい、という相談を受けることがあります。

特に、抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬、気分安定薬、抗精神病薬、ADHD治療薬などは、国によって持ち込みや輸入のルールが異なります。日本では通常通り処方されている薬でも、渡航先では規制対象になることがあります。

ここでは、オーストラリアに薬を持ち込む場合と、郵送・個人輸入する場合の違い、そして診断書・投薬証明書の役割について説明します。

1. 本人がオーストラリアへ薬を持ち込む場合

本人がオーストラリアへ渡航する際に、必要な薬を持参する場合は、旅行者としての免除制度が関係します。

オーストラリア政府の案内では、本人または同行する家族のための薬について、一定の条件のもとで持ち込みが認められています。一般的には、以下の点が重要です。

  • 自分自身、または同行する家族のための薬であること

  • 他人に譲渡・販売しないこと

  • 3か月分を超えないこと

  • 薬を元の包装、薬袋、ラベル付きの状態で持参すること

  • 英文の処方箋、診断書、または医師の手紙を携帯すること

  • 税関や入国審査で求められた場合に説明できること

精神科の薬の場合、薬剤名、一般名、用量、服用方法、持参数量、治療目的がわかる英文の投薬証明書があると安心です。

特に睡眠薬、抗不安薬、ADHD治療薬、鎮痛薬などは規制対象になることがあるため、薬の種類によっては事前確認が必要です。

2. 日本からオーストラリアへ薬を郵送する場合

注意が必要なのは、薬を「本人が持参する場合」と「日本から郵送する場合」は、扱いが異なるという点です。

オーストラリアのTGA(Therapeutic Goods Administration,オーストラリアの医薬品・医療機器に関する管轄機関)の個人輸入制度では、個人使用目的で医薬品を輸入する場合、一定の条件を満たす必要があります。

処方薬の場合、重要になるのが、

  • オーストラリアで有効な処方箋

  • または、オーストラリア側医師などによる written authority

です。

つまり、日本の医師が作成した診断書や投薬証明書を荷物に同封するだけでは、オーストラリア側の輸入条件を満たすとは限りません。

郵送の場合は、税関で止まる可能性があります。特に向精神薬や規制薬に該当する薬では、薬剤ごとに確認が必要です。

3. “written authority” とは何か

written authority とは、簡単に言えば、オーストラリア側の医師などが、

「この患者さんにはこの薬が医学的に必要であり、個人使用目的での輸入または継続使用を認める」

という趣旨で作成する文書です。

日本の主治医が作る英文診断書や投薬証明書は、医学的情報を伝えるためには非常に重要です。

しかし、それ自体がオーストラリア側の written authority になるわけではありません。

したがって、郵送・個人輸入を考える場合は、まず現地のGP、psychiatrist、または処方権のある医療者に相談し、オーストラリア側の処方箋または written authority を取得することが望ましいと考えられます。

4. 日本の医師が作成できる書類

日本の医師が作成できるのは、主に以下の3つの書類です。

  • 英文診断書

  • 英文投薬証明書

  • 英文の診療情報提供書

つまり、日本の医師は、オーストラリア側医師が判断するための医学的資料として、英文の診療情報提供書を作成することができます。

5. 診療情報提供書の役割

診療情報提供書は、オーストラリア側医師に対して、

「この患者さんは日本でこの診断のもと、この薬で治療を継続している」
「治療中断により症状悪化の可能性がある」
「現地でも治療継続が望ましい」

という情報を伝えるための文書です。

そのうえで、オーストラリア側医師が、現地の法規制や診療判断に基づいて、処方箋や written authority を発行するかを判断します。

したがって、診療情報提供書は written authority の代わりではありませんが、written authority を取得するための重要な補助資料になります。

6. 実務上おすすめの方法

精神科の薬をオーストラリアへ持っていく場合、最も安全なのは、原則として本人が必要量を持参する方法です。

その際は、

  • 3か月分以内にする

  • 元の薬袋・包装のまま持参する

  • 英文投薬証明書を持参する

  • 処方内容がわかる資料を持参する

  • 必要に応じて入国時に申告する

ことが大切です。

一方、日本から郵送する場合は、税関で止まる可能性があります。郵送を検討する場合は、事前にオーストラリア側の医師に相談し、オーストラリアの処方箋または written authority を取得してから行うことをおすすめします。

7. 当院で作成できる書類

当院では、海外渡航、留学、出張、海外赴任などに際して、精神科で処方されている薬についての英文診断書、英文投薬証明書、英文診療情報提供書の作成に対応しています。

オーストラリアへの渡航や滞在にあたり、薬の持ち込みや現地医師への相談が必要な場合には、現在の診断名、治療経過、処方内容、治療継続の必要性を記載した英文書類を作成できます。

ただし、オーストラリアでの処方箋や written authority は、原則としてオーストラリア側の医師が発行するものです。日本の医師が作成する書類は、現地医師の判断を助けるための医学的情報提供書としてご利用ください。

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