海外の税関でトラブルにならないために!精神科で処方された薬を持って出国する方法
「次の長期休みは海外旅行だ!」「海外出張が入った!」と期待と不安でワクワクされている方も多いのではないでしょうか。
スーツケースに荷物を詰め、パスポートを確認し、準備万端……。でもちょっと待ってください!
精神科や心療内科で処方されている睡眠薬や抗不安薬、ADHDのお薬など、いつも飲んでいる「メンタルのお薬」をそのままカバンに入れて飛行機に乗ろうとしていませんか?
実は、これらのお薬の多くは法律によって海外への持ち出し・持ち込みが厳しく制限されています。知らずに出国(あるいは現地に入国)しようとすると、最悪の場合、税関で没収されたり、違法薬物所持を疑われて拘束されたりするトラブルに発展しかねません。
今回は、皆さんが安全に海外へ渡航できるよう、厚生労働省の最新ルール(関東信越厚生局公示)をもとに、超重要なルールをわかりやすく解説します!
1. あなたのお薬はどれ?3つのグループとルール
精神科で使われるお薬は、法律上いくつかのグループに分かれており、それぞれルールが異なります。
① 医療用向精神薬(睡眠薬、抗不安薬、一部のADHD治療薬など)
デパス、マイスリー、ハルシオン、ソラナックスなど、当院でもよく処方する多くのお薬がここに該当します。
基準量(※下表参照)以下の場合:事前のお手続きは不要です。
基準量を超える場合:出入国時に、医師が処方したことを証明する「書類(処方箋の写しや、患者名・薬名・数量が記載された診断書)」の携帯が必要です。
注射剤の場合:量に関わらず、必ず医師の証明書類の携帯が必要です。
代表的な向精神薬の「手続き不要」な総量ライン(成分量換算)
| 成分の一般名(英語名) | 主な国内の商品名例 | 手続き不要な上限量(成分総量) |
|---|---|---|
| エチゾラム(Etizolam) | デパス | 90mg(0.5mg錠なら180錠分) |
| ゾルピデム(Zolpidem) | マイスリー | 300mg(5mg錠なら60錠分) |
| アルプラゾラム(Alprazolam) | ソラナックス、コンスタン | 72mg(0.4mg錠なら180錠分) |
| トリアゾラム(Triazolam) | ハルシオン | 15mg(0.25mg錠なら60錠分) |
| メチルフェニデート(Methylphenidate) | コンサータ、リタリン | 2.16g(18mg錠なら120錠分) |
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⚠️ 【重要】
ご自身のお薬がどれに該当するか、また基準量を超えているかどうかが分からない場合は、自己判断せず、必ず事前に確認してくださいね。
② 医療用麻薬
がんの痛み止めなどで処方される医療用麻薬を携帯して出入国する場合、分量に関わらず、事前に地方厚生局長の「許可」を受ける必要があります。
③ 医療用覚醒剤原料
ADHD(注意欠如・多動症)の治療薬である「ビバンセ(一般名:リスデキサフェタミン)」などは「覚醒剤原料」に分類されます。こちらも分量に関わらず、事前に地方厚生局長の「許可」が必要です。(※コンサータは「向精神薬」なので、事前許可ではなく上記①のルールに従います)。
2. トラブルを防ぐための「渡航3大鉄則」
鉄則1:英文の「薬剤証明書」を持っていくこと!
日本の法律上は手続きが不要な量であっても、渡航先の国(特にシンガポール、ドバイ、サウジアラビアなどの厳格な国)では、1錠持っているだけで厳しく取り締まられるケースがあります。
現地での不要なトラブルを防ぐため、当院では海外渡航者向けに英文の薬剤証明書(診断書)の作成をおすすめしています。
鉄則2:必ず「本人が携帯」すること
お薬を郵送したり、先に現地へ行く友人に預けたりすることは法律で禁止されています。必ずご自身の「手荷物」として機内に持ち込んでください(紛失や預け入れ荷物の遅延対策にもなります)。
鉄則3:商品名ではなく「一般名(成分名)」で記載する
海外の税関では「マイスリー」や「デパス」といった日本の商品名は通じません。証明書には必ず「Zolpidem」「Etizolam」といった世界共通の一般名(成分名)を記載する必要があります。
海外への渡航を予定されている患者様で、「英文の診断書が必要かもしれない」「自分の薬の持ち出し量が心配」という方は、出発の遅くとも3〜4週間前にはご相談ください。
準備を万全にして、心置きなく素晴らしい旅を楽しんできてくださいね!
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参考
医療用向精神薬を携帯して出入国する際の総量一覧表(厚生労働省)
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