日本の処方箋を英語に訳したら、海外の薬局で薬は買える?

答えは「不可」です

こんにちは。吉本メディカルクリニック院長の吉本光宏です。

診察室で患者様から「近々海外出張(旅行)に行くのですが、日本の処方箋を英文に翻訳してもらえば、現地の薬局で調剤してもらえますか?」というご質問を受けることがあります。

結論からお伝えすると、「日本の処方箋をいくら正確に英文翻訳しても、海外の調剤薬局で直接薬を受け取ることはできません」。

今回は、なぜ海外で日本の処方箋が使えないのか、その医療制度上の理由について解説します。

なぜ海外の薬局で調剤してもらえないのか?

主な理由は「医療免許および処方権の管轄権(法制度)の違い」にあります。

1. 処方権の地域的制限(法制度の違い)

医師免許および処方権(処方箋を発行する権利)は、国や州(アメリカなど)の法律によって厳格に管理されています。日本の医師免許・処方権は日本国内でのみ有効であり、海外の薬局に対して法的効力を持ちません。これは逆も然りで、海外の医師が書いた処方箋を持って日本の調剤薬局に行っても、日本の薬剤師は調剤できません。

2. 各国の医薬品承認制度(成分・用量の違い)

同じ効能の薬であっても、国によって承認されている「商品名」「成分の含有量」「適用となる用法・用量」が異なります。万が一トラブルが起きた際の賠償責任の所在地も国ごとに規定されているため、現地の薬剤師が他国の処方箋に基づいて薬を調剤することは法律上禁止されています。

海外で継続して薬が必要な場合の対処法

海外渡航中に持参した薬が切れてしまう恐れがある場合は、以下のステップでご準備いただくことをお勧めします。

  1. 日本からの持参(事前処方)

    渡航期間分のお薬をあらかじめ国内で処方してもらい、持参するのが最も確実です(※麻薬・向精神薬などを持ち込む際は、渡航先の国によって事前申請や英文の「 投薬証明書」が必要になります)。


  2. 現地医療機関の受診

    万が一現地の薬局で薬を手に入れたい場合は、現地の病院・クリニックを受診し、現地の医師に新たな処方箋を発行してもらう必要があります。


  3. 英文の「診療情報提供書(紹介状)」を持参する

    現地の医師にスムーズに処方してもらうため、当院などの主治医に「病名」「現在の処方内容(一般名/成分名記載)」「投与量」を記載した英文の紹介状(Medical Report)を作成してもらい、それを持って現地受診することをお勧めします。

お薬の海外持ち込み手続きや英文診断書や診療情報提供書の発行につきましては、渡航日程が決まり次第、お早めにご相談ください。


①英文書類発行をご希望の方
来院でのご予約です。他院通院中の方も予約可能です。
②オンライン診療(マイナンバーカード要)をご希望の方
マイナンバーカードによる本人確認とお薬情報が必要です。地方・海外在住の方はこちらをご利用ください。
次へ
次へ

フランスへのお薬持ち込みには「処方箋の原本」と「英文投薬証明書」の両方が必要です