「残薬があれば遠慮なく医師にお伝えください」

精神疾患に伴う症状は人それぞれ異なり、処方された薬の効果も個人差があります。そのため、残薬が出ることはよくあるケースです。患者さんが治療の一環として薬を処方された場合、時にはその薬を全て使い切れないことがあります。これを「残薬」と呼びます。

1. 残薬の理由

・副作用が強かったため減量や変更した

・症状が改善したので減らした

・服薬を忘れがちだった

・効果があまり感じられなかった

2. 医師に残薬について正直に伝える

残薬の理由を医師に正直に伝えることは大切です。
医師は症状の変化や体調を確認し、より適切な治療を提案してくれます。
患者さんの状態により、
処方の中止や他のお薬に変更したり、
服薬時間を変えてもらったり、
時々服薬するように服薬のタイミングを変更したりとさまざまです。

また、残薬を隠したり無断で服薬を中止したりすると、次の処方が的確に行えません。

「残薬があれば遠慮なく医師にお伝えください」

この一言には、患者さんと医師との間に信頼と理解を築く力があります。
健康を取り巻く疑問や不安について、遠慮なくご相談ください。
共に歩むことで、より良い治療成果を目指しましょう。

睡眠薬デエビゴってどんなお薬?

睡眠薬デエビゴってどんなお薬?


デエビゴとは

デエビゴ(一般名はレンボレキサント)は日本では2020年に発売された、レム睡眠を改善する新しい種類の睡眠薬です。既存の睡眠薬が非レム睡眠に作用するのに対し、デエビゴはレム睡眠の質を高めるオレキシン受容体拮抗薬です。

オレキシン受容体は、脳内の特定の化学物質であるオレキシンの作用を受けるためのタンパク質受容体です。オレキシンは、主に覚醒、食欲、エネルギー消費などを調節する重要な役割を持っています。このシステムは、睡眠と覚醒のサイクル、特に睡眠状態から覚醒状態への移行を管理する上で、中心的な役割を果たします。

オレキシン受容体を標的とした薬剤は、睡眠を誘導するためにオレキシンの活動を阻害することで作用します。これらの薬剤は、オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれ、オレキシンの作用をブロックして、睡眠の質を改善することができます。オレキシン受容体拮抗薬は、特に不眠症の治療において有効であることが示されています。

レム睡眠は夢を見る深い睡眠で、脳の活動が高まる睡眠段階です。レム睡眠が十分取れないと疲労感が残ったり、集中力が低下したりします。デエビゴはこのレム睡眠を適正化することで、睡眠の質を改善してくれます。

デエビゴの特徴

  • 入眠から中途覚醒までの睡眠維持作用がある

  • 翌朝の眠気が少ない

  • 長期連用による依存性が低い

  • 高齢者への安全性が高い

デエビゴの使い方

デエビゴは就寝直前に服用します。
就寝直前とは、ベットサイドにコップとお薬とお水を用意して、服薬してすぐ横になるイメージです。

1日の服用量は5mgが標準的な用量ですが、高齢者の場合は2.5mgから開始します。高齢者でない方でも5mgだと眠気が残る方がいらっしゃるので、その場合は2.5mg錠を服薬してもらっています。また1日の最大量は10mgです。10mgを超えて服薬はしないようにしてください。

デエビゴの注意点

  • 眠気やめまいに注意(翌朝の運転や機械操作は控えめに)

  • アルコールとの同時服用は避ける

  • 100人に1〜2人の割合で悪夢を見る方がいる
    (服薬することで夢を見やすいレム睡眠に影響が出るためと言われています)

睡眠の改善は、睡眠の原因になる疾患の治療と生活習慣が大事です。
睡眠薬はそのうちの手段に過ぎませんが、
不眠にお悩みの方はお気軽にご相談ください。